野良猫とタンゴ

うちは黒猫を一匹飼っている。
名前はタンゴ。
見た目は可愛いが愛想がなくて、可愛いげのないやつだ。

連休に入って、俺は家で昼寝してた。家族はみんな出掛けてる。
そしたら何か猫の唸り声がしてくる。それもリビングの方から、二匹。
野良猫が入り込んでんのかと思って、ホウキ持って行ってみると、やっぱり野良猫が入り込んでて、タンゴと威嚇し合ってた。
庭に面したサッシを換気のために開け放してあったんだけど、そこから入ったみたいだ。
二匹はすぐに乱闘を始めた。
部屋を荒らされちゃかなわんから俺もホウキで加勢しようとしたんだけど、こいつらメチャクチャに暴れまわるもんだから狙いが外れて、タンゴの頭をはたいちまった。
野良猫はサッシから外へ逃げてった。タンゴも追っかけて行ったけど、庭に出る瞬間に俺の方をジロッと睨んだ。

で、その日の夜。
１時か２時くらいに、急に目が覚めた。
何か体がズッシリ重いし、動かない。
胸の辺りに、何か乗っかってる。でっかい黒い影が。
人間というより、黒豹とかそっち系に思えた。
しかも何か怒ってるっぽくて、凄いプレッシャー感じる。
逃げようにも体が動かねーし、助け呼ぼうにも声が出ねーしで、もうガクブルして、必死に心のなかで「ごめんなさいごめんなさいすいませんすいません」って謝りまくってた。

気が付くと朝になってた。
でもまだ胸元が重くて、見てみたらタンゴが乗っかってジーッとこっち見てた。

ひょっとして夜中のあれはコイツだったのかな？ホウキではたいたのを怒ってたのかな？と思って、
「昨日は悪かった。猫缶買ってくるから許してくれよ」
って言ったら、通じたのかどうか知らんけど胸の上から下りて、トットコ部屋から出ていった。
　

ごめん、笑えるとこなかったな、ホントにごめん。
　

コメントを読む

Part31 次の話
Part31 Menu (１列) (表)
１列メニュー Top