えべっさんと僕の夏休み


826 名前:えべっさん[] 投稿日:2015/05/24(日) 13:20:38.06 ID:UaIKzIUb5
ではとりあえず、僕が小学生だった時の夏休みの話をしましょう。
夏はやはりあちらさんの扉が開きやすいらしく夏休み中えべっさんと一緒でした。
とある夜、ふと視線を感じて起きるとえべっさんも起きてジッと部屋の隅っこに視線を送っていました。
「えべっさ……」
「静かに」
えべっさんに言われた通り黙って隅っこにいる何かを見つめます。
何やら、人型でなにをしているのかゴソゴソと。
しばらく黙っていると人型が立ち上がりやれやれのポーズをします。
『ちゅーか、ここ何処だしー○○の家と違うんじゃね?』
と人型が呟くとうろうろ。
えべっさんは釣竿を取り出すと人型に向かって釣り針をぶつけました。
釣り針が引っかかったのか人型はジタバタ。
『いてぇ!いてぇ!ちょ、じじい止めろ!ちゅーかガキんちょも見てねーで助けろよ!』
慌てぶりと話し方から555に出て来る海堂みたいだなーと思っていると人型はえべっさんに引っ張られて倒れ込みました。
釣り上げられた魚の様にビチビチしてたかと思うと身体を丸めて震えています。
さすがに可愛そうになり逃がしてあげようよと言うとえべっさんは仕方なさそうに釣竿を振って壁の外へ投げ出してしまいました。
にゅっと壁から人型が顔を出して「ちゅーか、お、まえら!お、おぉ、覚えてろよ!」と叫んでいなくなりました。
 
827 名前:えべっさん[] 投稿日:2015/05/24(日) 13:33:17.08 ID:UaIKzIUb5
あまりの馬鹿さに笑い転げていると声に気付いた母親にしかられて僕は涙目になりながら布団にもぐって寝ました(ノД`)・゜・。
その次の日、ザリガニ釣りに行くといました。
その人型もとい海堂は沼の近くにある岩に体育座りをして悲しげに俯いています。
えべっさんに悪意の無い浮遊霊だと言われていたので話しかける許可を貰い話しかけました。
「おじさん」
『昨日のガキんちょか』
「おじさんなにしてるの?」
『お盆なのに迎え火が無くて迷子になってんだよ、それと俺はおじさんじゃない』
僕とえべっさんは顔を見合わせて教えてあげるべきか迷います。
その日は七月の最終日で海堂に言うべきか悩みに悩んだ挙句言いました。
「おじさん……お盆ってまだだよ?」
『……マジ?』
海堂は唖然として僕達を見ます。
「今日は、7月31日じゃ」
嘘でしょ?と言う顔で海堂は固まるとそのまま「失礼しました」と言って消えてしまいました。
どうやら日にちを間違えて来てしまった挙句、寝てて霊とリンクしやすい僕に引っ張られて家に迷い込んだそうです。
海堂さん、ちゃんと間違えずに戻れたかな?と思いつつザリガニ釣りを始めました(結局つれなかった)
これが一番強い思いでの夏休みです
 
828 名前:えべっさん[] 投稿日:2015/05/24(日) 14:19:08.90 ID:UaIKzIUb5
仕事の時間まで書きます。
ちなみにえべっさんの本気は、よくよく思い出したら外伝向け何で時系列的にと海堂さんのその後であるお盆の話にします。猫は高校の時なんでw

お盆になり、祖母の命令でホオヅキを祖母の妹の家に届けに行きました。
えべっさんも一緒でしたが霊の帰宅ラッシュに巻き込まれるからと祖母の手作りクマの中に入っています。
「ホオズキの実ってミニトマトみたいだよね」
「食べてみれば分かるじゃろ」
何気ない話をして妹の家にホオズキを届け、お礼にとアイスをいただいた後すっかり日の暮れた道を歩いて帰りました。
他の家では既に迎え火をやっており、いろんな人たちが帰って行くのが視えます。
いろんな人が帰ってるなーと思っていると電柱の陰から視線を感じてみると海堂さんが立っていました。
「あれ?海堂さん」
『ガキんちょ、聞いてくれ!家がない!』
「え?海堂さんの?」
『海堂って誰だよ、俺は○○だ』
○○と言えば……と僕はえべっさんを見て考えます。
そう言えば数年前に引っ越したなと思い海堂さんに伝えました。
(言い忘れていましたが、えべっさんといると霊と会話が出来ます)
海堂さんは唖然として帰宅中の霊に話しかけて迷惑をかけ始めます。
どうしようか、とえべっさんに言うとえべっさんは仕方ないと言って釣竿を出すと海堂さんを帰宅ラッシュの霊の中へ投げ入れてしまいました。
何をしたのかと聞くと「帰宅ラッシュの霊の中に紛れ込めば帰れるだろう」と答えて釣竿を仕舞いました。
海堂さんのドジっぷりに笑ってしまった体験です
 

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