首無しライダー

以前事故死したライダーが首無し幽霊となって追いかけてくるという峠に肝だめしに行ったときの話です。
その場所で仲間とダベリながら遊んでいると強烈なアップライトが向けられました。
同時に地を轟かすようなエンジン音。
「く…首が！無いぞ！」
誰かが叫びました。
そのライダー血で真っ赤に染まった肩の上には有るべき頭が無かったのです。

恐怖のあまり金縛り状態の私たちに向かい首無しライダーは凄い勢いで走ってきました。
もうダメ、と思った瞬間首無しライダーは何もない道路でいきなり派手に転倒しました、まるでコントのように。
「…痛い」と呟くとノロノロ立ち上がり道の真ん中にいたカマキリをつまみあげると路肩の草むらまでもっていき放してあげてました。
途中でカマキリに指を挟まれて「いたたた」とか言ってるのが妙に記憶に残っています。
その後何もなかったようにバイクを起こすと私たちの脇を走り抜けて行きました。

後で聞いた話によると飛び出した猫を避けようとガードレールに衝突して死んだライダーの霊だという事です。
きっと優しい人だったのでしょうね。
　　

あっぷらいとぴあの
　　

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