鏡の男

小学六年の時、何度目になるか分からないオカルトブームが来ていた。怖い話を読み漁ったりとか七不思議を調べたりと皆が皆していた。友人の友人や、友人から聞いた話等を纏めると、私が通っていた学校は七不思議が多すぎた。
少なくとも20個以上出来てた。
多分、怖い話の本に書かれていた七不思議が加わったんじゃないかと思う。
さて、七不思議の一つに【○時○分に、踊場の鏡に姿を映すと鏡の世界に連れて行かれる】というのがあった。
大体、怖い話で盛り上がると阿呆な奴らが「本当かどうか試そう」という調子になる。
私は、その阿呆な奴らの中の一人なので、放課後に試すことになった。
何回か挑戦したが、近くの時計が早かったりと上手く行かず。
なので、役割分担をすることになった。
私が鏡の前に立つ人。友人が上の階の教室の時計を見て、時間を知らせる人。
時間を知らせる友人から時間を聞き、鏡の前に立つ。
そして、鏡を見ると私の後ろの方に白い成人男性が立っていた。慌てて後ろを振り返ると男はいない。鏡を見ても、もういなかった。
とりあえず、友人に結果を言わねば！あと、なんか見たって言わないと！と友人が立ってるであろう上の階に目をやると、誰もいなかった。
姿は見えないが、友人と別の友人の声がする。どうやら、時間を知らせた後で別の友人に捕まったらしい。
見ていないのに万が一、鏡の世界に連れて行かれたらどうするつもりだったんだとイラっとしたので、私は上履きを脱いだ。
そして、鏡の前にそれを揃えて置いて下の階に降りて隠れた。
…騒ぎになった。
大慌てで「先生呼んでくる！」と言ってこちらに降りて来た友人に、声をかけると怒られた。
上履きだけしかない！という騒ぎと隠れてたのを見つけた！という騒ぎの中、たまたま教室に用のあった担任と遭遇。
全員怒られた。
最近、オカルトが流行ってることに対し危機感があったらしい。
『噂や話をする程度なら、余り良くないだろうけど、まだ良い。実行に移すのは駄目だ。もしかしたら、本当に何か起こるかもしれない。ふざけ半分ですると、取り返しがつかなくなることがある』(要約)
と、言っていた。
何かあったな？と思った私は、担任に聞いてみた所はぐらかされたが最終的には「こっくりさんで…」と語ってくれた。
続く
　

さて、その日見た夢の話。
夕方に行った鏡の前に私は立っていた。鏡越しに後ろの人物に、自分が興奮状態で日頃の出来事を話をしているようだった。
すると、後ろの男の人は私に「嫌な奴はいないの？嫌なことされてない？」と聞く。
「嫌な奴なら居るよ。でもね、自分で倍仕返ししないと気が済まないから大丈夫。それに嫌な奴は、違う場所に行ったって出来るもんよ(以下ドヤ顔で色々語る)」
黙って聞いてくれていたので、担任が良い先生。友達と言って貰える友達が出来た。意地悪してくる相手に倍にして返して、今では恐れられている。諦めず生きてて良かった等の話をした。
すると、泣きそうに見えないけど、なんか相手が寂しそうで泣き出しそうな様子に思えた。
「楽しい？もう来ない？」
もう来ない？の意味が未だに分からない。
「楽しいというか嬉しい」
「そう…」
消え入りそうな声で、良かったんだと呟いて後ろから離れ階段を降りて行った姿を鏡越しで見ていた。
それから、何故か落ちていた野球で使うバットを握り締め鏡を叩き割り、その校舎にある踊場の鏡を破壊してから起きた。
起きて学校行ったら、ヤンキー達が夜中に侵入したようで夢で破壊した同じ校舎の踊場の鏡が、全て破壊されていた。
まさか一致するとは思わなくて、もしかして寝坊けて学校まで行き自分が破壊したのか？と思ったが、「所詮は夢」と自分で断定して黙ってた。
野球のバットを使ったという噂も出て、夢と一致したが新しい犯人扱いされそうで更に黙ってた。
幽霊が決定的に出なくてごめん。あと長すぎた。
ついでに、夢の男の人だけど寂しいって最後に呟いていたのと、この夢見てから事故に遭いそうになることがかなり減った。
以上。オチもなくてごめん。
　