山の夜


495 名前:プラトーン[sage] 投稿日:2015/07/17(金) 00:05:32.06 ID:34rjDZ4/0
久しぶりに怖い体験したので投下します。

大学の知り合いに日舞を若いながらに修めている女の子(この話ではAとします)が山に行きたいと
計画を立てているらしく、山に何度も入ったことがある自分に相談したいと話を振ってきたのだ。

何度かレポートの世話になっている彼女の頼みを聞いて山に入るときに必要な荷物を教えて
幾つかの注意点(夜は寒いから気をつけろとか、獣道は入るなとかありきたりなものだが)を教えて
あげていたが、その話を聞きつけたAの仲間が参加することになり結局自分がガイドすることになった

Aに山を訪ねる理由を尋ねたところ山で日舞の練習をしたいとの事。

Aの仲間もそれに賛同して、ますますガイドを断りにくくなり
女日照りで普段は出不精の自分にもいいかー、と軽く了承しました。

山は近所にある低い山をチョイスし、皆に注意事項を説明して一泊のキャンプをすることに決定した。

で、当日みんなでワイワイやりながら登って行ってた。

するとふと少し道から外れた場所に小さな祠があったんだ。
そこでどうにもいてられなくて祠に近づいてお供えをしたんだ。 まあ、実家の山が山だし。
するとみんなが自分の行動に気づいて興味深そうに言うわけ

いつもやってるのかー、とか、迷信だろーとか。
そういう皆を宥めて神様に無事を祈ってから山登りキャンプを再開したわけ
でキャンプ自体は楽しくて火が思いのほか簡単についたりとかわかる人には
「あっ」となるようなことが何回かあったくらいで気にも留めてなかった。

けども、どことなく嫌な予感が拭いきれずにいてモヤモヤしてたんだけども
それが的中したのが夜中のことだった。
 
496 名前:プラトーン[sage] 投稿日:2015/07/17(金) 00:17:29.03 ID:34rjDZ4/0
男と女が混じってたからテントを二つ用意してたんだけどそのときの仲間B(男)を
怪談話でビビらせたりして遊んでたんだが、突然Aと一緒に寝てた女子がテントを破く勢いで
中に入ってきた。

「Aが突然出ていってから戻ってこない!」

「エッ! こんな夜更けにか!」

女子が入ってきた時点でビビッてたBを押し退けて事情を聞くとAが寝付いてからすこしすると
化粧を落としてる女子Cの隣を抜けて出て行ったらしい。
トイレはキャンプ場の近くにあるのでCもついでにとテントを出たところAの姿がない。
探そうにも山に不慣れなので男で経験のある自分に泣き付いたとのこと。

嫌な予感が的中したと、内心ビビりながら懐中電灯とお守りを握り締めてAを探すことになった。

BとDをキャンプ場に残しておっかなびっくり暗い山を歩くことになり、虫の声にもビビリながら
歩いていくと一気に体が硬くなるのを感じた。

Aが道の真ん中で踊っていた。

足元もおぼつかないような石ころだらけの場所で彼女の得意な日舞を踊っている姿。

そしてそれを囲むように大きな手が空中に漂っていた。
Aが日舞を踊ると手が合いの手を入れてリズムを刻み、それにあわせてAもまた踊る。

手の大きさはほんとにでかくて掌から指先で上半身が隠れてしまうほどで合いの手も
パンという拍手というより太鼓を叩いたようなでかい音だった。

自分がどうにもできずにただただ見守っているとやがてAが踊りきったのか
ばったりと倒れてしまった。

おもわず「あっ!」と声を出してしまったので手が最悪なことに気づいてしまったらしく
手がスーッとこちらに近づいてきた。

ほんとにドでかい手が近づいてきて、生まれて何度目かの命の危機を感じていると
手が横一列に並んで手の甲を見せてきた。

んで、金縛り状態の自分が手を凝視していると

『ばぁっ!!!』

って手の甲からこれまたドデカい顔が現れて、突風のような叫び声を上げました。
ですが、そのときはAが気になっていたのと
実家の神様と大して変わらないことだったので恐怖の度合いがグッと減った気がしました。
 
497 名前:プラトーン[sage] 投稿日:2015/07/17(金) 00:23:27.61 ID:34rjDZ4/0
先ほどまでのビビリ顔がみるみる平時の顔に戻っていくのがつまらなかったのか
そのでかい顔と手は不満そうに山の奥へと消えて行きました。

体の恐怖感が抜けたのでAを助けに行くと眠っている感じだったので背負って
キャンプまで戻り、ビビリまくりのBとDを宥めてAを任せ、一応用心して火を起こし
朝までボーっとしていました。

結局朝まで変わったことは起こらず、ふもとまで降りてから近所の駅で解散という流れになりました。
降りてから気がついたのですが、自分が祠に気づいたときAだけはお供えをしていませんでした。

異変が起きたのはそのせいだったのでしょうか?
 

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